【 チューターマニュアル 】
1.チューター制度について
チューター制度とは,本学部に在学する外国人留学生(以下留学生)に対して,指導教員の指導のもとに,大学等が選んだ『チューター』(学生アドバイザー)によって,教育・研究について個別の支援を行い,留学生が環境へ早期適応し,学習・研究の向上を図るのが目的です。
原則として,日本語でコミュニケーションをとることが十分ではなく,海外での生活が初めての留学生1名につき1名のチューターを付けることができます。
2.チューターの指導が受けられる留学生の条件
※あくまで目安です。予算によっては変更となる場合もあります。
Ⅰ. 学部正規生 :渡日後最大1年間
Ⅱ. 大学院正規生及び研究生:渡日後最大1年間
Ⅲ. その他,特に指導教員が必要と認めた者:渡日後最大1年間
(特別聴講学生・特別研究学生などの非正規生)
◇本学に在籍する留学生の種類・区分
《 在籍身分による区分 》
学部学生(正規生) | 4年間(医学部医学科は6年間)在籍し,学士の学位を取得する留学生 |
大学院生(正規生) | 2年から5年在籍し,修士・博士の学位を取得する留学生 |
研 究 生(非正規生) | 教員の指導のもとに研究課題を定め,研究を行う留学生
※多くの学生は,大学院正規課程に進学する。 |
特別研究学生
(非正規生) |
大学間交流協定等に基づき,本大学院において研究指導を受ける留学生 |
科目等履修生
(非正規生) |
履修した授業科目について所定の単位を取得する留学生 |
特別聴講学生
(非正規生) |
大学間交流協定等に基づき,母国の大学に在籍したまま1年以下の滞在予定で本学に留学している留学生 |
3.チューターの資格
特別な資格はありませんが、その役割の遂行上,文化や習慣の異なる学生と接することになるため,様々な要素が求められます。
※工学部においては,チューターは「本学に在学する学生(正規生)で,留学生の専攻する分野に関係がある者」となっています。
また,本学に1年以上在籍していれば留学生(正規生)がチューターになることも可能ですが,その際には資格外活動許可書を持っていることが前提となります。(持っていない場合は,申請して取得後 チューター登録可能となります。)
4.チューターの役割
大きく分けて次の3つをサポートすることになります。
勉学上の支援
対人関係上の支援
生活上の支援
※どのサポートを重点的にするかは,留学生個々人の必要性によって異なります。様々な学生に適したサポートが出来るように,チューターは指導教員や学生支援担当のスタッフと相談しながら計画的に指導します。また,留学生からも,必要とするサポートをチューターに伝えることができます。
5.◆ 日常のチューター業務 ◆
チューター業務の主なものとしては,次のような事項があります。留学生がより良い留学生活を送れるよう,様々な面でサポートしていきましょう。
原則的に,チューター業務はキャンパス内で行うことになっていますが,必要がある場合は学外で行うことも可能です。ただし,業務時間(拘束時間)は午後9時までとします。国際交流会館(留学生宿舎)での指導は談話室でのみ可能ですが,留学生の居室に入っての指導はできませんので,ご注意ください。
また,キャンパス内にある国際交流ラウンジ(生協のある工学部会館2F)も留学生との交流・支援等の場として利用できますので,ぜひご利用ください。
[ 来日直後の諸手続き ]
□市役所での手続き・・・・・・・・・住民登録
※住民住居地を定めてから14日以内に住居地の転入届を提出
国民健康保険への加入
国民年金保険料の免除申請
※『国民年金保険料学生納付特例申請書』の提出
□生活必要物品の購入
□銀行口座開設
[ 生活面 ]
□生活に関する情報の提供及び助言(郵便物や宅急便の不在連絡票の連絡方法について等)
□日本社会における生活相談
□学外者に対する理解について助言(地域住民等)
[ 勉強面 ]
□履修計画の指導に関するサポート
※留学生から問い合わせがあった際は,学生サポートセンター②
教育支援担当へ相談してください。
ただし,留学生を対象とした日本語授業については,学生サポート
センター①学生支援担当へ相談ください。
□オリエンテーションやガイダンスの際のサポート
□日本語学習のための援助(レポートの添削等)
□学習法の助言等(予習や復習時)
※適切な参考書の紹介,実験・実習の内容説明,授業ノート整理の手助け等を行ってください。
□事務的な事柄についての援助(各種届け出等)
□奨学金や授業料免除申請時の書類の確認
□学生サポートセンターの活用方法等
□指導教員や関係者との連絡調整
□掲示板の案内
□キャンパス案内
図書館・保健管理センター・学術情報基盤センター等の施設の利用方法について
食堂・ATM・コンビニ等の場所の確認
[ その他 ]
□長期休暇(夏期休暇等)に入る前の連絡について
※長期休暇中に,チューターが実家に帰省したり,留学生が一時帰国する場合は,支援ができない期間もあると思いますので,事前に連絡を取りあっておいてください。
なお,留学生が一時帰国・海外旅行をする際は『一時帰国・海外旅行届』を学生サポートセンター①学生支援担当に提出することになっています。渡航中に大学から緊急の連絡がある場合は,届け出に記載された連絡先に連絡しますので,必ず提出するように伝えて下さい。
□非常時の連絡先の確認
6.チューターになるための手続き
1.チューター希望の申し出&申し込み方法
1)留学生が所属する研究室の指導教員からチューターとしての推薦を受ける。
2)留学生とチューター希望学生二人揃って,指導教員からの推薦状を持参の上,学生サポートセンター①学生支援担当でチューター希望の旨を申し出る。(学生支援担当より必要書類をもらい,説明を受けてください。)
3)その後様式1・様式2・様式3の書類を提出して,チューター登録をする。
※留学生がチューターになる場合は,銀行の通帳のコピーの提出も必要になります。
4)チューター登録を済ませたら,『出勤表』に日付記入・サインの上受けとる。
7.チューターの辞退について
お互いの相性が合わない時,都合がつかないことが多い時などは,チューターを辞退することが可
能です。その際は,学生サポートセンター①学生支援担当に申し出てください。相談の上,対応します。
8.チューター『出勤表』の提出について
チューターのみなさんは,「チューター出勤表」を毎月学生サポートセンター①学生支援担当へ提出してください。
これは,毎月どれだけ支援を行ったかを確認するためと,謝金のお支払いのために必要な書類ですので,提出期限までに忘れず提出してください。
提出期限を過ぎますと,謝金の振込(支払)が遅くなりますのでご注意ください。提出期限は毎月末です。チューター業務終了後速やかに提出してください。
なお,指導教員のサインが提出期限までにもらえなかった場合は,そのまま一度学生サポートセンター①学生支援担当へお持ちください。コピーを取って、原本をお返ししますので,後日サインをもらってから再提出してください。
ただし,留学生のサインは必要ですので,チューター業務最終日にサインをもらってください。また,長期休業や就職活動等のため,提出期限日までの提出が難しい際は,事前に学生サポートセンター①学生支援担当までご相談ください。(連絡がないまま未提出が続いた場合は,謝金のお支払いが出来なくなる場合がありますのでご注意ください)
※1ヵ月全く支援を行わなかった場合についても,チューターの学生は必ず留学生や指導教員からサインをもらい,学生支援担当に提出してください。
9.指導期間,謝金について
チューターの支援期間はチューターの支援が受けられる留学生の条件によります。
米沢地区では,チューター業務1時間につき,800円の謝金をお支払いしています。
チューター謝金は1ヶ月最大10時間(8000円)までの支給となっております。10時間を超えた分については,ボランティア扱いとなり,謝金はお支払いできませんのでご了承ください。(その年の予算の状況によるので必ずしもこの額とは限りません。)
なお,2人で1人の留学生を担当している場合は,2人で10時間までの支給となります。基本的には,5時間ずつの支給となりますが,どちらかの支援時間が5時間に満たない場合は,調整して2人の合計が最大で10時間となるように支給します。
1人で2人の留学生を担当している場合は,留学生1人につき10時間まで謝金をお支払いすることができますが,もし留学生2人を同時間に支援した場合は,時間給で計算しているためどちらか片方のみの支給となります。
※支援時間の合計で、30分未満の端数が出た場合は、
その分は繰り下げとなります。
【 チューターを行う際の諸注意事項 】
- 事前に確認すべき点について
相手のことを良く知り,どんな支援が必要なのかを十分に話し合い,言葉の問題がある時は,教職員などに協力を依頼してください。同じ母国語を持つ学生等を紹介します。チューターは,単に,親切であればいいというものではなく,チューターとして支援できること,できないことをはっきりとさせ,時には「No」と言うことも必要です。負担を感じながら,チューターを続けることは,双方にとって負担になるだけですので,留学生を支援する前に,以下のことを,予め,本人に確認してください。
1)留学の目的
学位取得なのか,それ以外なのかを確認し,留学の目的を認識してください。
2)日本との関係,日本語学習の状況について
日本に来るには,様々な背景をもっています。親戚等が日本国内に住んでいるのか。また,日本語の学習歴について知ることも把握しておくべき情報の一つです。
3)経済的にはどのような状況であるか
留学生の場合は,特に経済面での問題が,その人の勉学や研究に影響を及ぼすことが多く見られます。経済状況にも留意してください。
4)文化・習慣について
時には,日本人には理解しがたい行為をする事もあります。しかし,留学生の文化・習慣等を理解し,逆に日本の文化等を教える良い機会としてとらえてください。ちょっとした工夫で,日本や米沢での生活を一層楽しくすることが出来ます。
2,ビザ等に関する諸問題
- 基本的に留学生はアルバイトが禁止されています。ただし,入国管理局で発行される「資格外活動許可書」という証明書を取得することで,正規生は週28時間,非正規生は週14時間アルバイトが可能となります。(有効期間は在留期間満了日迄)
ただし,国費留学生については,半年経ってからでないと取得できませんのでご注意ください。また,この証明書の取得手続き等は,指導教員の了承を得た後,学生サポートセンター①学生支援担当で行うことができます。
- 留学生が一時的に帰国,海外旅行をする際などは,工学部学生支援担当に届け出なければなりません。
3)その他,留学生からビザについての質問や相談を受けた際は,まず学生サポートセンター①学生支援担当に相談に行くように伝えてください。
3,アルバイトについて
アルバイトの紹介等はチューター業務に含まれません。チューターは留学生にアルバイトを紹介しないでください。
前記のとおり,留学生がアルバイトする際は,入国管理局で「資格外活動許可書」を取得する必要があります。取得しないでアルバイトをした際は,罰金は200万円,また,斡旋した人にも300万円の罰金が課せられます。
留学生がアルバイトを希望している場合は,一度学生サポートセンター①学生支援担当へ相談に行くよう伝えてくだい。
4,チューター業務としては認められないもの
カラオケや飲み会など明らかに支援とかけ離れているものは,チューター業務
として認められません。支援内容がチューター業務として適切かどうか迷うような事例がある場合には,あらかじめ学生サポートセンター①学務課学生支援担当まで相談に来て下さい。
5,チューター業務に関するQ&A
異なる文化などのため,小さな誤解や勘違いは,毎日無数に発生します。まず,留学生に対し,その場で率直に話すこと,困ったときは自分だけで解決しようとせずに,学生サポートセンター①学生支援担当に相談に来てください。 |
Q)民間アパート等への入居についての相談があった。
A)学生サポートセンター①学生支援担当を訪れるよう伝えてください。アパートの探し方等について,
職員から留学生にアドバイスをします。
Q)留学生が,「日本人は,『一度家に遊びに来てください,食事に行きましょう』と言いますが,言葉だけで終わってしまうことが多く,約束を守らない」と言っていた。
A)留学生の要求・希望に対しては,曖昧な返事をせず,Yes,Noをはっきりとさせ,無理な場合は断ってください。留学生が混乱してしまい,お互いの信頼関係を損ねる恐れがあります。
社交辞令としてではなく,本当に招待する場合は,具体的な日時・場所の説明をして下さい。
Q)日常的な日本語に,何の問題もない留学生でも,ゼミでの発表やレポート作成等に不安を感じているようだ。
A)そのような相談を受けた時は,指導教員へ相談に行くようアドバイスしてください。
Q)留学生がチューターに遠慮しているように感じ,チューター活動がしづらい。
A)欧米系の留学生と異なり,アジア系の留学生は,チューターや指導教員への遠慮があることが多く見られます。そのために,手続きや勉学の上で大きな支障になることもあります。チューターが聞き上手になり,お互いの意思疎通を図ることで,課題を洗い出し,改善策を講じましょう。
例えば,留学生からコンタクトがない場合,チューターの学生から積極的にメールや電話でコンタクトをとり次に会う日時を決めるのも良いでしょう。
Q)自分から日本人学生などに声をかけたり,友だちを作ったりすることが難しいとの相談を受けた。
A)待つのではなく,自ら話しかけることも必要であることを伝えてください。また,サークル活動への参加も良いきっかけになると思います。
Q)地域住民から苦情を受けたとの相談があった。
A)地域住民とのトラブルの多くはゴミ出し,騒音等です。ゴミの出し方については,日本における環境問題,リサイクルについて説明し,ゴミの分別について理解を促してください。
※留学生の中には宗教等の理由で様々な制約がある学生もいます。例えばイスラム教徒である留学生は,禁酒,礼拝等いろいろな宗教上の制約を守っています。まず,彼らの宗教を尊重し,どんな制約があるか聞き,その上で接してください。